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東京高等裁判所 昭和38年(ネ)2516号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

(一)  控訴人は原判決を取消す。被控訴人は控訴人に対し金一三六、七〇〇円及び内金三〇、〇〇〇円に対し昭和三七年八月一日から、内金一〇六、七〇〇円に対し昭和三七年八月八日から夫々完済まで年六分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とするとの判決を求めた。

(二)  当事者間双方の事実上の主張は控訴人において次のとおり訂正附加したほか原判決事実摘示欄記載のとおりであるからこれを引用する。

(1)  控訴人は控訴人主張の原判決事実欄掲記(1)および(2)の各約束手形の所持人であるが、控訴人は各手形とも訴外株式会社三菱銀行に対し取立委任裏書をなし、訴外会社において満期の日支払場所に支払のため呈示したが支払を拒絶された。

(2)  右各約束手形はいずれも振出日白地のものであつたが、控訴人は昭和三九年一月二〇日、補充権にもとづいて、振出日を昭和三七年五月三一日と補充した。

(三)  証拠(省略)

理由

本件についての当裁判所の判断は原審の判断と同一であつて次のとおり附加するほか原判決の理由に示すところと同一であるからこれを引用する。

(一)  本件各約束手形は控訴人が訴外株式会社三菱銀行に対し取立委任裏書をなし、訴外銀行において満期の日に支払場所に支払のため呈示したところ、支払を拒絶されたものであることは被控訴人の明かに争わないところであるから自白したものとみなす。

(二)  控訴人は昭和三九年一月二〇日、白地のままであつた振出日を補充権にもとづいていずれも昭和三七年五月三一日と補充したと主張する。しかしながら、これによつて、完全手形となり、振出人に対する関係においては、消滅時効が完成しないかぎり、完全手形として手形金の請求をなし得ることとはなつても、裏書人に対する遡及権を行使するための要件としての支払のための呈示が、これによつて適法となるによしないところであり、(かつ、すでに、満期およびその後の二取引日も経過しておることも控訴人の主張自体明かである)、従つて、これによつて、控訴人の本訴請求を肯認することはできない。

そうすると控訴人の請求を失当として棄却した原判決は正当であるから民事訴訟法第三八四条により本件控訴を棄却し、訴訟費用の負担につき同法第八九条第九五条を適用して主文のとおり判決する。

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